歯周病治療成功の7つの秘訣

①歯周治療の前に正確な診査診断は不可欠

お爺さんが朝起きてきて「胸が痛い」といっていきなり結核の薬を出す医者はいません。診査診断をして、例えば夜お爺さんが階段から落ちて打撲による胸の痛みであれば、湿布をするでしょうし、あるいは検査によって結核菌が検出されれば結核菌に効く抗生物質を投与するわけです。

治療にあたっては正確な診査診断が必要です。タイヤがパンクしたからといってタイヤを直しても車庫の入り口に釘が刺さっていれば、タイヤを直すこと自体はなんら有効な手立てではありません。病気の治療としては対症療法にあたるわけで、原因を取り除かない限り問題は解決しません。

当医院では正確な診査診断を行った後、歯周病治療にあたっております。

歯周病の診査・検査

②歯周病治療は簡単?

治療ですが、これは至って明瞭簡単です。歯周病は歯に付着した細菌の塊(デンタルプラーク:歯垢)によって引き起こされた病気ですから、その原因であるプラークを歯面から除去してやればいいわけです。

歯肉炎、歯の支持組織に炎症が及んでいない状態では歯ブラシをご自身で正確に用いることによって、あるいは衛生士が専門的に歯面からプラークを除去することによって健康で正常な状態に戻すことは可能です。

もちろん歯周病の再発予防のために、歯面へプラークの再付着防止のための清掃(歯ブラシ)は欠かせません。

歯周病流れ

ところがいったん歯と歯茎の間から根に沿って歯を支える組織(歯周組織)に感染及んだ状態、歯周組織炎(いわゆる歯槽膿漏)に至っては歯ブラシだけで治りません。歯科衛生士あるいは歯科医師のような専門家が細菌を歯茎の下の根面から除去する事が必要になります。一旦歯周病に罹患し、歯周組織炎に至ると歯と歯茎の間にポケットのような状態(歯周ポケット)ができあがり、この中には多種の細菌が住むことになります。こうなると麻酔下で機械的に歯肉にしたに隠れた根面を清掃するスケーリングと言う処置が必要になってきます。

俗に言うスケーリングとは、歯肉の上の歯面に着いた歯石(これは唾液の中のカルシウムが石灰化したもの)をとることですがこれはわりと簡単にとれます。一方歯茎の下に着いた歯石(歯と歯茎の間の下に貯まった細菌の死骸などが石灰化したもの)は根面にかなり強く着いていますので取るのはかなり厄介です。この歯石自体はたいして害毒はないのですが、細菌が付着しやすいので麻酔をして丁寧に時間をかけて完全に取り除く必要があります。

画像
歯石とりの流れはこちら

③歯周病は感染症なのになぜ抗生物質があまり有効でないか

歯周病は歯牙に付着した細菌により引き起こされる病気ですから、薬剤によって除去するという方法、つまり抗生物質によって細菌を殺すという方法も考えられるわけです。ところが普通抗生物質を歯周病治療に用いることは稀です。一旦歯周病に罹患し、歯周組織炎に至ると歯と歯茎の間にポケットのような状態(歯周ポケット)ができあがり、この中には多種の細菌が住むことになります。ですからある特定の抗生物質を利用しても、すべての種類の細菌を殺すことは出来ません。また歯周病は慢性化した病気です。慢性化した状態では抗生物質はききにくいわけです。

つまり、歯と歯茎の間の下に貯まった細菌の死骸などが固まって出来た歯石を機械的に除去しないかぎりこの歯石の上にまた細菌が付きやすくなるので、結局は機械的に歯の周りから細菌を除去する必要が生じます。薬剤は、あくまで歯面の機械的な清掃の補助でしかありません。

④なぜ歯周病治療に手術が必要か?

歯周ポケットの深さが5ミリ程度まででしたら麻酔をして衛生士、あるいは歯科医師が機械的な手用器具あるいは超音波スケーラーといったものを用いて清掃することは可能です。つまり非外科的に歯周病を治療することは可能です。ただしそれ以上ポケットが深くなってくると、当然手用器具はポケット底にまで達しませんので、歯茎を開いて根を直接目で見て根面を清掃するといった専門的な手術(歯周外科)が必要になります。

こうなってきますと、非常に歯周病の治療が難しいものと考えがちですが、そのターゲットは歯面にあるわけですから、技術さえ伴えば理論的には簡単なわけです。ただし我々にも出来ないことがあって感染が根の先まで及ぶと歯牙を保存することが不可能になり抜去せざるを得ません。

治療

歯肉剥離掻爬手術の情報はこちら

⑤治療後のメインテナンスは治療以上に大切

フロリダのマグヌソン教授が実験してみると、ポケットの中から術者が細菌を除去した後(麻酔下でのスケーリング)、歯の上にまた細菌が付着するつまり歯ブラシがうまく使えないとポケットの中の細菌が4~8週間でまた増えてくるということがわかっています。つまり治療した後患者さんが歯ブラシを上手く使えないとすぐ再発するわけです。おまけにこの歯周病の細菌というのは1~2年でできあがったポケットの中に増えたわけではけしてなくって、歯が生えてから、つまり6歳で歯が生えて、例えば成人性の歯周組織炎となるとだいたい35歳くらいが目途になりますけれど、その間に30年近く過かって貯まった細菌を我々がほんの1~2時間の間に除去してしまうわけですが、そこの部分に歯ブラシが届かなければこの30年過かって増えた細菌がほんの4~5週間でまた増えて病気が再発するということになります。

ですからもちろん歯周病の予防には歯ブラシでプラークが付かない様にすることも大切ですが一度歯周病にかかって治療が終わった後、その再発の予防にも機械的、つまり歯ブラシで歯茎の上のプラークが歯茎の上の歯面に付かなくなるということは非常に大切です。たくさんのマウスオシュ(洗口液)が市販されていますが、残念ながら一度歯面あるいは根面に着いてしまったプラークを取り除く薬剤は現在の所ありません。洗口液はあくまで補助的なものと考えた方がよろしいでしょう。

一度歯周病に罹患したということは、治療が終了して、健康な歯周組織が快復されても、再発を防止するために、治療後のメインテナンスは必須です。最近では、サポーチブ・ペリオドンタルセラピーと言う言葉が盛んに使われています。つまり、患者さん自身のプラクコントロールに加え、術者つまり衛生士達による積極的な機械的あるいは化学的なプラクコントロールの大切さが再認識されています。

⑥かわさと歯科における最新の歯周治療法

歯肉炎の場合は歯面から細菌を除去することにより健康で正常な状態に戻りますが、残念ながら一度歯周炎にかかってしまうと細菌を除去しても、失われた支持組織つまり歯槽骨やその周りの歯肉は元通りに戻ることはありません。

歯肉は退縮して歯根が露出する。つまり歯が長くなる様な状態になってしまいます。これは現在の歯科医療では元に回復することは出来ません。スウェーデンで開発された豚のタンパク質から抽出したエムドゲイン(ビオラ社)を用いることによってある特殊なケースにおいては失われた歯の支持組織を回復することは可能です。

エムドゲインの情報はこちら

当医院はこの治療システムの普及とともに、患者の皆様にも積極的にこの治療法を進めております。

⑦かわさと歯科における専門医による総合診療

感染が除去されて健康な歯肉が戻ったとしても、その歯列不正、あるいは動揺、あるいは抜去された歯牙のために審美、咀嚼に問題が残ることがあります。当医院は成人矯正専門の歯周病医でもあり、この歯列不正の問題の解決にあたっています。

一方、歯の動揺を固定するために歯にクラウン(冠)をかぶせなければならないことが多いのですが、このような処置においても顕微鏡下において処置をし、歯と冠の間にギャップか極力ないようにして細菌が付かないような修復を行っております。

専門医1 専門医2

さて、万が一にも歯が失われて咀嚼、あるいは審美に問題が起こったとしたら現在ではインプラント(人工歯根)によってこの問題を解決することが可能です。当医院では、イエテボリ大学で開発された世界で一番実績があるノーベルバイオケア社のブローネマルクシステムを用いて、こういった問題を解決しています。もちろん、こういったシステムを用いた後も術後の管理が必須であることは言うまでもありません。当医院では厳格なメインテナンスのプログラムをとって、治療にあたっています。

歯を抜く前に、あるいはインプラントを埋める前に是非一度、当医院にご相談ください。現在考えられる最新のそして最善の歯周病治療にスタッフ一同、あたっております。

インプラントサイト
インプラントについてはこちら
上へ


日本歯周病学会認定 歯周病専門医/歯周病治療/歯石取り/大阪市/梅田